あなたの姿なき声が

涙をちゃんと流せていたのなら

この手が冷たくなかったのなら

悲哀に呑まれた心でなかったのなら

あなたの強さに応えられたのだろう

優雅にしな垂れた優しい髪を撫でることも

俯きがちな微笑みを覗き込むことも

私の秘密を打ち明けることも

すべて、できたのだろう

そうして、あなたの姿なき声が響きだし

暗闇にいる私にさえ届くのだ

苦悶の故の歓喜があると

私の心へ、そう諭すように