雨の日に
露でいっぱいな窓の向こう
君に調子を合わせる雨にしなだれた髪
君のリズムを供にする幼気な外套
君は激しく舞い、穏やかに微笑む
すべての苦しみを受け入れるように
すべての愛を奔流させるように
僕を諭すように雨との軽妙なダンスを愉しんでいる
あなたは私を
あなたは私のそばに居たい近づく
あなたは私を感じたいと触れる
あなたは私に与えたいと微笑む
そうやって、あなたは私のことを知ろうとする
私でさえ私のことを知らないというのに
あなたの心
あなたの
挫けそうな心を支えることができたなら
沈淪する心を醒ますことができたなら
凍てつく心を覆うことができたなら
澱みゆく心を焙じることができたなら
私の心は報われます
あなたの心に情熱が灯るのだから
俯きがちな私
俯きがちな私、心はここにない
遠い記憶のなかに散在している
仮面舞踏会で賑わう会場の外
月光に悶える噴水が、せきあえぬ露のしぶきを飛散させるように
私の心は、暗く光る凍てつく地面に閑寂とする
声がきこえた、優美で謙虚な優しい声だ
遠くの方から、形のないものが届くのだ
東雲の煌めきの穏やかな暖色が地面に照り初める
俯きがちな君、けれど微笑んでいる
君の瞳はちゃんと私の心を映すことができるだろうか
人を愛そう
やっとだ、やっと気づいたのだ。
真に美しいものを既に知っていた。
畏怖か猜疑か、そうしたものから目をそらさずにはいられない憂鬱があっただけだ。
なんて無粋なことだろう。
あぁ今度こそ、私は愛す、愛すぞ!!
あの伏見がちな微笑みの幸福を、求めてやまぬ。